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特許出願すると摸倣される?「出願公開制度」

執筆者:服部 秀一
更新日:2017年5月18日
 特許出願すると、出願した日から1年6か月後に、その特許出願した内容が公開されます(特許法第64条)。
 具体的には、特許出願した内容(特許請求の範囲、明細書、図面、要約書)について、独立行政法人 工業所有権情報・研修館(INPIT)が管理する特許情報プラットフォーム上に掲載されます。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage

 特許出願の際に必要な明細書には、物の構造のほか、必要に応じ、その物の製造方法や動作などを記載する必要があります(特許法第36条)が、特許が認められた場合には、その権利範囲は特許請求の範囲に記載された事項(各請求項)となります。

 特許が認められた場合であっても、特許請求の範囲に記載された事項(各請求項)に含まれない事項、例えば他の構造や製造方法などについては、権利範囲に含まれませんので、第三者が模倣しても権利行使することができません。

 特に、審査の結果、特許取得を断念した場合には、特許出願した内容すべての事項について、第三者の自由な実施が可能となりますので、その特許出願した内容の製品を自社で製造販売する場合においては、第三者の模倣を間接的に認めた結果となってしまいます。

 日本国で特許を取得した場合であっても、その効力は日本国内のみ有効です(属地主義)。このため、日本国以外の国で特許取得を行なっていない場合には、日本国で特許を取得した内容であっても、その特許取得を行なっていない国々での第三者の製造販売は、自由に行うことができてしまいます。ただし、日本国への輸入については権利行使を行なうことはできます。
 インターネットを使えば、日本国以外の国々の方でも容易に特許情報プラットフォームにアクセスできますので、何か良いアイデア商品がないか調べるには、特許出願情報を検索することによって、無料で有用な情報を容易に取得できてしまいます。

 このような点を加味しますと、特許出願の際に明細書等に記載すべき事項については、特許取得後のことについても考慮し、どのような点まで記載すべきか検討する必要があります。特許出願した後には、例えば実験データ等の実施例を追加できないということから、むやみやたらに何でも記載すればいいというものではありません。**

 ぜひ、特許出願を行なう際には、以上の点を踏まえて、明細書等に記載すべき事項について検討して頂ければと思います。
* 一般的に、出願日から1年3か月が経過する前(出願公開される3か月前)までに、特許出願を取下げることによって、出願公開を間逃れることが可能です。したがいまして、特許出願の審査の早期化(早期審査の活用など)を図り、特許されるかどうかの心証を早期に確認することによって、上記のような問題を解消することも可能です。

** 特許出願した後であっても、出願日から1年以内(国内優先権制度の活用)であれば、より特許される可能性を高めることを目的として、実験データや追加の実施形態等を追加することも可能です。

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